足のつけ根の痛みとリハビリ

はじめに

足のつけ根、すなわち股関節は、私たちの立つ・歩く・座るといった日常動作に欠かせない重要な関節です。本コラムでは、股関節の痛みの特徴や原因、そしてリハビリのポイントについてわかりやすく解説します。

股関節の特徴と役割

股関節の構造

股関節は、大腿骨(人体で最も長い骨)と骨盤(腸骨・恥骨・坐骨で構成)から成り立っています。
・大腿骨の上部にある大腿骨頭が、骨盤の寛骨臼にはまり込むことで、安定性と高い可動性を両立しています。
・肩関節と比べて動きの自由度はやや劣りますが、強固な靭帯と筋肉によってしっかりと支えられています。

股関節の動きと負担

・股関節は立ったり歩いたりするたびに負荷がかかるため、日常生活で酷使されやすい部位です。
・年齢とともに筋力が低下しやすく、特に40〜60歳代で痛みが出やすい傾向があります。
・若年層でも大腿骨頭壊死やリウマチ性関節炎などで痛みが生じることがあります。

股関節痛の主な原因

発生しやすい疾患

・変形性股関節症
・関節リウマチ
・大腿骨頭壊死
・大腿骨頚部骨折

痛みが起こる背景

・女性は男性よりも股関節痛が発生しやすい傾向があります。これは、股関節の形状や筋肉量の違いが影響していると考えられます。
・股関節を動かす筋肉は、背骨や骨盤から大腿骨や膝まで広がっているため、股関節の問題が腰痛や膝痛を引き起こすこともあります。
・痛みが出ると、股関節の動きを腰椎で補おうとするため、背中や肩にも負担がかかりやすくなります。

リハビリのポイント

リハビリの基本方針

・痛みの原因が骨折などの外傷なのか、加齢による変性なのかでリハビリの方法が異なります。
・もっとも重要なのは関節可動域の改善です。特に屈曲拘縮や外旋制限が生じないように注意し、既にある場合は改善を目指します。
・可動域が制限されると、立位姿勢が崩れ、歩行時に股関節や腰、膝への負担が増します。

重要な筋肉とリハビリのポイント

大腰筋(腰椎から大腿骨へ伸びる筋肉)は、股関節の屈曲や腰椎の動きに関わる重要な筋です。大腰筋が短縮・緊張すると、股関節の伸展が妨げられ、腰椎の前弯や背筋の緊張が強まります。
・骨盤から膝まで伸びる二関節筋も、股関節・腰部・膝関節の動きに影響します。リハビリではこれらの筋肉の柔軟性と機能改善が欠かせません。

まとめ

股関節の痛みは、日常生活の質を大きく左右します。原因や症状に合わせたリハビリを行い、関節の可動域や筋肉の柔軟性を保つことが、快適な生活への第一歩です。気になる症状があれば、早めに専門家へ相談しましょう。