肩の痛みとリハビリテーション

はじめに

肩の痛みは日本人に多く見られる症状であり、生活の質を大きく左右します。本コラムでは、肩の痛みの特徴や原因、効果的なリハビリのポイントについてわかりやすく解説します。

肩の痛みが多い理由

日本人に肩の痛みが多い背景

日本人は欧米人に比べて頭部が大きい傾向があり、重い頭を支えるために首や肩甲骨周囲の筋肉に負担がかかりやすいと考えられています。

現代の生活習慣の影響

パソコンやスマートフォンの長時間使用、同じ姿勢でいる時間の増加、慢性的な運動不足などが筋肉バランスの乱れや肩の痛みの原因となっています。

一般的な治療とその課題

整形外科での対応

湿布や内服薬で痛みを一時的に和らげる処置が多いですが、根本的な原因にアプローチできていない場合があります。

リハビリや鍼灸の現状

痛みの部位に対する局所的な治療にとどまり、全体的な原因追及が不十分なことも少なくありません。

肩の構造と特徴

肩関節の可動域

肩は体の中で最も可動範囲が広い関節です。肩関節は上腕骨頭に対して肩甲骨の臼蓋が小さいため、安定性を補うために関節包・靭帯・筋肉が重要な役割を担っています。

複数の関節の連携

肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲胸郭関節など、複数の関節が連動して肩の動きを支えています。このため、肩の痛みは単なる肩関節の問題だけでなく、関連する部位全体に影響を及ぼします。

肩の痛みを引き起こす主な疾患

・肩関節周囲炎(五十肩)
・腱板炎
・肩峰下インピンジメント症候群
・腱板断裂

それぞれの疾患によって治療方法やリハビリの進め方が異なります。

肩のリハビリテーションのポイント

1. 原因の特定が最優先

・痛みや可動域低下の原因を明確にすることが重要です。
・肩関節や筋肉、神経だけでなく、全身の使い方や生活習慣も考慮します。

2. 全身のバランスを整える

・肩の痛みが首や肘、手、腰、足など他の部位にも影響を及ぼすことがあります。
・肩関節だけでなく、肩甲骨や肘関節、脊柱の動きも改善することが効果的です。

3. 段階的なアプローチ

・痛みの期間が長い、動かせる範囲が狭いほど、回復には時間がかかります。
・日常生活で肩が約150°挙上できると、快適に過ごせるとされています。
・肩甲骨や脊柱の使い方を学びながら、段階的に機能回復を目指しましょう。

まとめ

肩の痛みは慢性化しやすく、生活習慣や姿勢が大きく影響します。根本的な原因を見極め、全身のバランスを整えながらリハビリを行うことで、より効果的な改善が期待できます。お困りの際は、専門家にご相談ください。