肩の痛みとリハビリについて

概要

肩の痛みは、欧米人に比べて日本人に多いと言われています。これは、頭部の大きさの違いに由来しているとの説もあります。欧米人に比べて、日本人は頭部が大きく、重い頭部を支えるために頚部周囲筋、肩甲骨周囲筋に過剰な負荷が加わるため、痛みが発現してしまうのです。

昨今の世情は、パソコンや携帯が必須となっており、同じ姿勢でいる時間が長いこと、慢性的な運動不足によって、筋肉のバランスが崩れなど生活習慣が原因となり、痛みとして発現してしまうケースもあります。

一般的な整形外科では、湿布や内服薬によって、痛みの原因を誤魔化すという対応がとられていることが多くあります。また、リハビリや鍼灸などの接骨院でも痛みの部位に対する局所的な治療となっているケースもあります。そのため、本当の意味での痛みの原因追及が不足しているがことで慢性的な痛みとなっていることも少なくありません。

痛みの原因に対して適切な治療を施すことで劇的な痛みの緩和を図ることができます。肩の痛みについては、慢性化しやすく、姿勢の影響、生活の影響が色濃く現れる特徴があります。

肩の構造

一般的に肩の動きは、身体の関節の中で最も可動範囲が広い関節です。肩関節は、上腕骨頭に対して、肩甲骨の臼蓋(きゅうがい)が小さい特徴があります。肩関節は、鎖骨と肩甲骨から成る肩鎖関節(けんさかんせつ)、胸骨と鎖骨から成る胸鎖関節(きょうさかんせつ)、肩甲骨と肋骨から成る肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)等、複数の関節の働きによって、成り立っています。骨性支持が身体の他の関節よりも不足していることを補うために、関節包・靭帯・筋が相互に作用し、肩の安定性を確保しつつ、運動性を発揮しています。そのため、肩の痛みは狭義の肩関節だけの問題では留まらないことが多いのです。

肩痛を引き起こす疾患

肩関節周囲炎、腱板炎(けんばんえん)、肩峰下(けんぽうか)インピンジメント症候群、腱板断裂(けんばんだんれつ)等が特徴的な肩の痛みを引き起こす疾患となります。それぞれの疾患別での治療段階・手段は異なります。

リハビリについて

肩のリハビリでは、対象となるのが、痛みと可動性低下が主な課題となります。痛みや可動性低下の原因追及が最も大事なことです。原因については、肩の関節、筋、神経だけでなく、全身的な身体の使い方の問題、日常生活における負担集中など様々な要素が加わります。また、肩が痛いことで頚部や肘、手が痛む、腰や足が痛むことさえ起こりえます。

肩の痛みと可動性低下という問題解決のためには、問題に対するアプローチが最も効果的です。痛い期間が長ければ長いほど、動かせる範囲が狭ければ狭いほど回復までの過程には、時間を要します。日常生活において肩関節の動きはおよそ150°の挙上が行えれば、楽に生活を過ごすことができると言われております。

動きの改善のために肩関節だけを治療しても最大限の改善は見込めません。肩甲骨と肘関節の使い方、脊柱と肩甲骨の使い方を学習していくことで問題となっている痛みと可動性は段階的に改善していくことが可能です。