脳性麻痺の概要
脳性麻痺(のうせいまひ)は、胎児期から生後4週間以内に脳が損傷を受けることで発症する、運動機能や姿勢調節に障害が生じる疾患です。主な原因には、外傷、感染症、脳への血流不足による低酸素状態などが挙げられます。また、運動を司る脳以外の部位にも障害が及ぶ場合、知的障害や視覚・聴覚障害を合併することもあります。
脳性麻痺の主なタイプ
脳性麻痺は、症状の現れ方によって4つのタイプに分類されます。
最も多いタイプで、筋肉がこわばり(痙縮)、動かしにくくなります。全体の約70%を占めます。
意図しない手足や体幹の不随意運動が特徴で、全体の約20%にみられます。
バランスがとりにくく、動きが不安定になるタイプです。発症頻度は5~10%程度です。
上記の2つ以上のタイプが組み合わさったもので、多くは痙直型とアテトーゼ型の混合です。
脳性麻痺の症状
症状は個人差が大きく、軽度から重度までさまざまです。主な症状としては、運動機能の発達遅延(首すわりやハイハイができない等)や筋肉のこわばり、不随意運動、バランス障害などが挙げられます。
脳性麻痺のリハビリテーション
脳性麻痺のリハビリは、運動機能や日常生活動作の改善、自立した生活の実現を目指します。成長段階や症状に応じて適切なリハビリを継続することで、姿勢保持や関節への負担軽減、介助量の減少などの効果が期待できます
リハビリについて
立位・歩行練習やバランス訓練、筋力トレーニングなどを通じて、運動機能の向上・維持を図ります。ロボットを用いた歩行練習や、部分免荷トレッドミルなどの先進的機器も活用されています。
食事や着替えなどの日常生活動作を補助具とともに練習し、自立度を高めます。
CI療法(患側のみを使う訓練)、ボツリヌス療法(痙縮軽減)、機能的電気刺激、ホームプログラム(自主トレーニング)など多様な方法があり、組み合わせて実施します。
歩行や自転車漕ぎ、ジャンプなどを取り入れ、体力や移動能力の向上を目指します。
乗馬のリズミカルな動きで体幹や股関節の筋肉、姿勢バランスを改善します。バランスボール等で代用することもあります。
リハビリの進め方
リハビリは、高頻度かつ継続的に行うことが重要です。週数回の集中リハビリや、自宅・学校での自主トレーニングを組み合わせることで、効果を高めることができます。また、本人やご家族のモチベーション維持も大切なポイントです。
まとめ
脳性麻痺は、早期から適切なリハビリを行うことで、運動機能や日常生活の自立度を高めることが可能です。ご本人・ご家族・療法士が協力しながら、成長や症状に合わせてリハビリを継続することが大切です。
