高次脳機能障害ついて

高次脳機能とは

高次脳機能(こうじのうきのう)とは、脳が担う「記憶」「思考」「判断」などの高度な働きを指します。これらの機能は、私たちが日常生活を送るうえで欠かせない重要な役割を果たしています。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害は、交通事故などによる頭部外傷や、脳卒中・脳腫瘍など脳に関わる病気が原因で、脳の一部が損傷を受けることで生じるさまざまな症状の総称です。

主な症状

失語症(しつごしょう)

言葉を話す・理解する能力が低下します。主に左脳の損傷が原因で、運動性失語・感覚性失語・全失語などのタイプがあります。

失行(しっこう)

これまでできていた動作や行為ができなくなる障害です。観念失行、観念運動失行、肢節運動失行、着衣失行、構成運動失行、運動維持困難などがあります。

失認(しつにん)

物事の理解が難しくなる症状です。視覚失認、視空間失認、触覚失認、聴覚失認などが含まれます。失行との違いは「認識」に障害がある点です。

記憶障害

新しいことを覚えられない、過去の記憶が思い出せないなどの症状が現れます。

注意障害

集中力が続かない、気が散りやすいなど、注意力に関する障害です。

遂行機能障害(すいこうきのうしょうがい)

行動の計画や実行、制御が難しくなります。日常生活の段取りができなくなる場合もあります。

社会的行動障害

感情のコントロールが難しくなったり、社会的なルールを守れなくなることがあります。

※これらの症状は、せん妄や認知症と間違われやすいため、注意が必要です。

診断と検査

高次脳機能障害は症状が多岐にわたり、外見からは分かりにくいことも少なくありません。そのため、リハビリ専門職による専門的な検査や評価が重要です。検査結果をもとに医師が診断を行い、適切な支援やリハビリの方針が決定されます。

周囲の理解とサポートの重要性

高次脳機能障害は、家族や周囲の方々にも気づかれにくい「見えにくい障害」です。本人の困りごとを理解し、適切な診断と支援を受けることが、社会復帰や生活の質向上につながります。周囲の理解とサポートがとても大切です。