首の痛みとリハビリについて

概要

首の痛みは、首の後ろ側に起こることが多いです。首の痛みと共に腕や手の痺れなども同時に起こることもあります。また、うつ病などの神経の病気と首の痛みは相関性があると言われています。
つまり、首の痛みがうつ病などの発症リスクを上げてしまうこともあるということです。

頚部の構造

首のことを頚部(けいぶ)と呼びます。頚部の骨は、第1頸椎から第7頸椎の7個の骨と、頭部の頭蓋骨、肩の周りの肩甲骨、鎖骨で主に構成されます。頸椎は、胸椎や腰椎と比べて、骨の大きさが小さく、周囲の靭帯や筋によって安定性を確保しています。頭は、人体の中でも重いため、重さを支えるために頚部には常に負荷がかかっています。さらに、頸椎の下にある胸椎や腰椎との連動した動きの関係性もあり、頚部には強い負荷がかかっています。

頚部痛を引き起こす疾患

頚部の痛みを引き起こす代表的な病気には、外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)、頸椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばん)、変形性頚椎症(へんけいせいけいついしょう)、胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)、頸椎後縦靭帯骨化症(けいついこうじゅうじんたいこっかしょう)、髄膜炎(ずいまくえん)などがあります。

外傷性頚部症候群は、いわゆる“むちうち”のことを指します。正式名称は、頸椎捻挫(けいついねんざ)と呼びます。車の運転中の後方からの追突事故などで急激な頚部の伸展方向の負荷によって発生することがあります。受傷後の症状も多岐に渡るので適切なケアを必要とします。

頸椎椎間板ヘルニアは、姿勢やスポーツなどが誘因となることもありますが、30~50歳代に多く、誘因なく発症することもあります。腕や手の痺れや感覚が鈍麻したり、筋力が低下したりします。

変形性頚椎症は、椎間板がすり減り、薄くなることで椎骨がズレることで神経の圧迫や血流障害が起こるなどして痛みや痺れが発生します。

リハビリについて

頚部のリハビリでは、対象となるのが痛み及び痺れと可動域制限であることが多いです。この問題によって、日常生活を円滑に過ごせなくなることがあります。

頚部は、胸部や腰部と比べても体表面上に重要な血管、神経があります。そのため、施術を行う際の触れ方には十分注意を必要とします。

病気の種類や症状に応じて、施術する方法は異なります。しかし、共通していることは、痛みや痺れが出現している場所やその原因になっている頚部だけを施術するだけではなく、全身の中の一部として頚部を捉える広い視点が必要だということです。また、頚部周囲には、自律神経に関わる神経もあるため、体調の変化に留意しながら施術を進めていく必要があります。

肩甲骨の状態の確認と頚部伸展筋群の筋の局在的状態変化の確認が重要です。

痺れや痛みが緩和してきた段階から低下した筋の機能改善のために自主訓練を追加して頚部の安定性向上を目的とした訓練を行っていきます。この段階では、訓練は局在的ではなく、全身的な内容になります。