概要
足のつけ根には、股関節(こかんせつ)があります。股関節は形状的に安定した関節であり、靭帯で最強の靭帯や多数の筋により安定した関節です。しかし、二足歩行を獲得した人間にとって、普段の姿勢や動作の影響を受けて、主に大腿骨頭(だいたいこっとう)が傷つき、潰れるなどして可動域制限と疼痛を引き起こされます。
男性に比べると、女性のほうが股関節痛が発生する割合が多いです。この理由は、股関節の形状の男女差、筋量の男女差が影響していると考えられます。
足のつけ根は、立ったり、歩いたりして行動する度に負荷が加わります。足の中では最も動きの自由度の高い関節です。年齢を重ねていくことで筋力低下するタイミングと同時期の40~60歳代頃に痛くなりやすい特徴があります。しかし、さらに若年者であっても大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)やリウマチによる関節炎などで痛くなることもあります。
股関節を動かす筋は、背骨や骨盤を構成する寛骨、恥骨、坐骨から大腿骨や膝骨まで伸びてついています。そのため、股関節に問題が起こる前後で腰痛を併発することも多くあります。
股関節痛が発生すると、股関節の動きを腰椎の動きで補う動きや動作となることも少なくありません。そのため、背筋群の過度な緊張を特徴的に示し、腰痛や肩痛まで発生することがあります。
股関節の構造
股関節は、大腿骨(だいたいこつ)と腸骨・恥骨・坐骨から成り立つ寛骨から構成されます。大腿骨は、人体の中で最も長い骨です。大腿骨の上部には、大腿骨頭があり、寛骨の寛骨臼に収まる形状となっています。大腿骨の下部には、内側上顆と外側上顆があり、脛骨(けいこつ)と膝関節を構成しています。
股関節の動きは、通常は骨盤に対する大腿骨の動き方で表現されます。肩と同様に動きの自由度は高いが、関節の安定した形状と強固な靭帯の働きによって、肩と比較すると動く範囲は狭いです。しかし、肩と異なり、背骨からも股関節を動かす筋が延びているため、股関節に対する骨盤の動きも起こるという特徴があります。
股関節痛を引き起こす疾患
変形性股関節症(変形性股関節症)、関節リウマチ、大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)、大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)などがあります。
リハビリについて
股関節のリハビリでは、痛む理由が骨折などによる怪我によるものなのか、年を重ねたことによる退行性変性(たいこうせいへんせい)なのかによって対応方法が変わります。しかし、最も改善しなければならないことは、関節可動域です。特に股関節の屈曲拘縮(くっきょくこうしゅく)、外旋制限(がいせんせいげん)は、発生しないように配慮していくこと、改善する必要があります。これらの動きの制限が発生することで立位姿勢が崩れ、歩行時の股関節、腰部、膝への負担が増加してしまうことが理由です。
股関節の筋において、腰椎から大腿骨へ延びている大腰筋(だいようきん)は、腰椎の動きと股関節の動きに関わります。大腰筋の筋短縮や過度な緊張は、股関節の屈曲拘縮を招き、股関節の伸展方向の動きを阻害するとともに腰椎の前弯増強と背筋の高緊張状態を招きます。そのため、股関節のリハビリでは決して無視できない状態です。また、股関節には、骨盤から膝まで延びている長い筋が存在します。それらの二関節筋と呼ばれる筋の機能も腰部、股関節、膝関節へ影響するため、施術する過程では重要な治療対象となります。