脳挫傷とリハビリテーション

脳挫傷とは

脳挫傷は、交通事故などで頭部に強い衝撃が加わった際に、脳組織が損傷し出血や腫れ(浮腫)が生じる状態です。特に前頭葉側頭葉で発生しやすいのが特徴です。損傷の程度によって現れる症状はさまざまで、頭痛、めまい、吐き気、運動麻痺、感覚障害、言語障害、けいれん発作などがみられることがあります。

また、脳への直接的な衝撃によって外傷性クモ膜下出血を合併する場合もあります。さらに、6時間以上意識障害が続く場合はびまん性軸索損傷と診断されることがあります。

リハビリテーションの開始

全身状態が安定した後、リハビリテーションが始まります。リハビリは、失われた脳機能を残された神経で補うことを目指し、運動機能や日常生活動作、言語機能、認知機能など多方面にわたる訓練が行われます

リハビリテーションのポイント

急性期リハビリ

意識障害がある場合でも、感覚刺激や正しい姿勢の保持、関節のストレッチなどを早期から実施し、合併症の予防と機能回復を図ります。

回復期リハビリ

専門職による集中的な訓練を行い、残存機能の最大化や日常生活への復帰を目指します。リハビリの頻度や内容、専門スタッフの充実度が重要なポイントです。

長期的な支援

高次脳機能障害や社会復帰支援も含め、生活全体をサポートするリハビリが行われます。

脳挫傷の後遺症とリハビリの展望

現在の医療では損傷した脳細胞自体を元に戻す治療法はありませんが、リハビリによって症状の改善や機能の回復が期待できます。特に発症後1年以内の質の高いリハビリが重要です。

後遺症が残った場合でも、あきらめずに継続的なリハビリを行うことで、何らかの変化や進歩を目指すことが可能です。再生医療など新しい治療法も研究されていますが、現時点では保険適用外です。

まとめ

脳挫傷は重篤な障害を残すこともありますが、早期から適切なリハビリテーションを開始し、継続することが回復への鍵となります。症状や経過に合わせたリハビリを受け、前向きに取り組むことが大切です。