コラム

「できること」を一つずつ。身体機能の改善と、現実的な目標設定への寄り添い

介助の軽減から始まる、日常の活動性向上

「よりスムーズな移動を叶えたい」という目標が、施設生活の中での自立を支えています。
脳出血による右片麻痺を抱えるS様が来院された当初、移動は完全に車椅子に頼り、ベッドへの移乗にも多大な介助を必要としていました。私たちはまず、生活の質(QOL)を左右する移乗動作の負担軽減を最優先に設定。施設内での移動を円滑にし、日々の活動量を増やすことを目指しました。痛みの緩和を図りながら丁寧な動作訓練を重ねることで、少しずつ「自立」への土台を築いていきました。

着実な改善:トイレ動作と歩行訓練へのステップ

具体的な動作の改善は、ご本人だけでなく周囲のサポート体制にも良い変化をもたらします。
リハビリを継続した結果、現在はベッドへの移乗やトイレまでの移動、さらにはトイレ動作における介助量が大幅に軽減されました。これは身体機能における大きな前進です。また、歩行についても杖と装具を用い、介助があれば遂行可能な段階まで改善しています。実用的な歩行にはまだ課題が残りますが、一歩ずつ着実に、自分の力で動ける範囲を広げていけるよう訓練を続けています。

心と身体のバランス:現実的な目標に向けた伴走

高い志と現実のギャップを埋め、痛みに配慮したきめ細やかなケアを大切にしています。
現在は、高次脳機能障害の影響による病識の欠如や、麻痺側の痛みといった課題にも向き合っています。ご本人の「車で帰りたい」という強い意欲を尊重しつつ、まずは施設での生活を快適にするための現実的なステップを共有する。この対話こそが重要だと考えています。上肢の痛みを和らげ、活動性を維持することで、S様がより穏やかに、そして意欲的に毎日を過ごせるよう、全力でサポートを継続してまいります。

担当セラピストより一言

「移乗やトイレ動作がスムーズになったことで、S様の日常生活に少しずつゆとりが生まれてきました。病識の課題や痛みに対しても、ご本人のお気持ちを第一に考えながら、無理のない範囲で一歩ずつ前進できるよう、根気強く伴走させていただきます!」