ギランバレー症候群とリハビリについて

概要

ギランバレー症候群は、末梢神経の障害です。末梢神経の障害が原因で急に発症し、数日で次第に手足、顔面、呼吸器官に麻痺などが起こる病です。病気の原因は完全には解明されていませんが、自分の免疫機能が自分の末梢神経を攻撃することで末梢神経障害が起こる自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)と考えられています。統計上、成人男性に多いとされていますが、全ての年齢層、性別に発症の可能性があります。

ギランバレー症候群の症状は、多岐にわたりますが、一般的に末梢神経が障害されるため、筋力低下・感覚障害・疼痛が起こります。その他、呼吸障害、自律神経障害(じりつしんけいしょうがい)も起こることがあります。

手足の麻痺は、完全に回復することが多いとされていますが、稀に重症化することもあります。その場合、全身的に完全な麻痺が起こることもあります。

医学的な治療方法は、免疫グロブリン静注療法、血漿交換(けっしょう)が選択されます。重症の場合は、呼吸機能が低下するため、人工呼吸器も行われることがあります。

リハビリについて

ギランバレー症候群は、急に発症し、麻痺が進行する病気です。そのため、リハビリにおいて重要なことは、病期ごとの適切な評価と目標設定です。

急性期のリハビリは、麻痺症状の進行に伴う呼吸機能に関する肺炎や無気肺(むきはい)などの合併症の予防に対する呼吸リハビリと関節拘縮(かんせつこうしゅく)予防のための関節可動域訓練を行うことが大事です。身体の可動域が関節拘縮により制限されると、麻痺の回復後の日常生活動作に悪影響を及ぼすためです。

回復期の段階では、麻痺が回復傾向を示し、自分で身体を動かすことができるようになっています。しかし、麻痺の回復過程において、筋緊張が低下している状態での過度な筋へのストレッチは、身体を損傷する危険性もあり、注意が必要になります。そのため、運動の進め方を十分考慮して、定期的な筋力の評価が重要となります。呼吸機能が低下している場合も同じように無理をせずに段階的に呼吸リハビリを進めていく必要があります。

生活期では、ギランバレー症候群を発症した方は、麻痺の程度や機能回復過程に個人差が大きいという特徴があるため、回復が長期間かかる場合もあります。そのため、回復過程にあわせた関わり方が重要になります。適切な運動負荷の設定と円滑な日常生活動作の獲得を行うことが重要です。